不注意と「やる気がない」はちがう——ADHDの注意特性について父親が考えたこと

着替えの途中でおもちゃに気をとられる子どもあざらしと、困り顔で見守る親あざらし 発達特性を知る

「何度言っても聞いてない。やる気がないのかな」

呼んでも返事がない。さっき言ったことをもう忘れている。やりかけのことをそのままにして別のことを始めている——

最初は「ふざけているのかな」「やる気がないのかな」と思っていました。でも、これは「不注意」という特性であって、やる気や態度の問題ではなかったと理解するまでに、少し時間がかかりました。

この記事では、我が家で感じてきた不注意の場面と、「やる気がない」との違いについて、父親として考えてきたことを書いています。

私について

ADHD/ASDと診断された5歳の子どもを育てている父親です。専門医への相談、田中ビネー知能検査、週3回の民間療育への通所など、いろいろな経験をしてきました。このブログでは、専門家としてではなく、実際に迷いながら進んできた父親として書いています。

この記事でわかること

  • 「不注意」とはどういう状態か、我が家の体験
  • 「やる気がない」との違い、特性としての背景
  • 特性だと分かってから親の見え方がどう変わったか

我が家で感じてきた不注意の場面

呼んでも返事がない・聞こえていないように見える

名前を呼んでも振り向かない。「聞いてる?」と顔を近づけてようやく気づく、という場面が日常的にありました。耳が悪いのかと思って確認したこともありましたが、聴力には問題なし。聞こえているのに、注意が向いていない状態だったようです。

すぐに気が散る・やりかけを放棄する

着替えをしていたと思ったら、途中で別のおもちゃに手が伸びている。「あとでね」と言いながらそのまま忘れてしまう。何かを頼んでも、途中で全く別のことが始まっている——こういった場面が毎日のようにありました。

忘れ物・なくし物・指示が通らない

さっき言ったことを次の瞬間には忘れている。何度言っても同じことを繰り返す。保育園から持って帰るものをなくす——繰り返しが続くと、こちらも「何度言えば分かるの」と思ってしまう場面がありました。

「やる気がない」と「不注意」はどう違うのか

一番混乱したのが、「好きなことにはしっかり集中できる」という点でした。

好きな動画やタブレットには夢中になれる。でも着替えや片付けになると途端に集中が続かない。「やろうと思えばできるじゃないか」と感じて、やる気や態度の問題だと思っていた時期がありました。

でも療育や専門医への相談を通じて理解したのは、ADHDの不注意は「注意を向ける力のコントロールが難しい」状態だということです。好きなことへの過集中と、興味が薄いことへの不注意は、同じ特性の表と裏のような関係にあるそうです。

やる気がないのではなく、注意を向け続けることそのものが難しい——そう理解してから、叱り方が変わりました。

子どもの行動の背景にある意味については、こちらの記事も参考になるかもしれません。

子どもの行動には意味がある?説明後に父親の見方が変わった話

うまくいかなかったこと

叱れば改善するかと思っていましたが、そうはなりませんでした。「さっき言ったでしょ」「何度言えば分かるの」と繰り返しても、次の日にはまた同じことが起きる。

叱ることで子どもが萎縮していく様子を見て、「これは方法が間違っているかもしれない」と感じたのが、相談に踏み出すきっかけのひとつでもありました。

特性だと分かってから変わったこと

「不注意は特性だ」と理解してから、伝え方を変えるようにしました。

短く、具体的に伝える——「ちゃんとして」ではなく「くつをここに置いてね」のように、一度に一つだけお願いするようにしました。複数の指示を一度に出すと、最初しか届かないことが多いと気づいたからです。

目を見て、近くで伝える——離れたところから声をかけても届きにくいので、近くに行って視線を合わせてから話すようにしています。

「また忘れた」ではなく仕組みで補う——忘れ物については、本人を責めても変わらないので、置き場所を決める・目につく場所にメモを貼るなど、環境で補う方向にシフトしました。

しゃがんで子どもあざらしと目線を合わせて話す親あざらし

今の考え方

「やる気がない」と「不注意」は、親から見ると同じように見えることがあります。でもその背景は全く違うと、今は感じています。

特性だと分かったからといって、すぐに楽になるわけではありません。それでも、「どうしてやらないの」から「どう伝えれば届くか」に視点が変わったことで、親子どちらにとっても少し穏やかになれた気がしています。

よくある質問

不注意は成長とともに改善しますか?

個人差がありますが、環境の工夫や療育のサポートで日常の困りごとが減っていく子も多いようです。「なくす」より「補う仕組みを作る」方向で関わることが大切だと感じています。

好きなことには集中できるのはなぜですか?

ADHDの特性として、興味関心が強いものには過集中しやすく、そうでないものには注意が向きにくいという傾向があるようです。「できるときとできないときがある」ことへの誤解が生まれやすいポイントでもあります。

何度言っても伝わらないとき、どうすればいいですか?

「何度も言う」より「一度を届きやすくする」方が効果的なことが多いです。近くで目を合わせて、短く一つだけ伝える——まずこれを試してみると変わることがあります。相談先については、こちらも参考にどうぞ。

子どもの発達が気になったらどうする?最初の相談先と父親の体験談

まとめ

「やる気がない」と「不注意」は、見た目が似ていても中身が違います。叱っても変わらなかったのは、やる気の問題ではなく、注意を向け続けることが難しい特性があったからだと、今は理解しています。

伝え方を変えること、仕組みで補うこと——完璧にはほど遠いですが、そういった工夫の積み重ねで、少しずつ毎日が変わってきた気がします。同じように悩んでいる方の、何かヒントになればうれしいです。

この記事を書いた人
あざらし先輩

30代後半・会社員パパ。ADHD/ASD特性を持つ5歳の子と奮闘中。専門医への相談・知能検査・週3の療育通所など、診断から支援まで経験してきた「ちょっと先を歩く先輩」として、同じ悩みを持つ親にリアルな情報を届けます。

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