ADHD子どもの癇癪、原因は親の可能性も?

青いパーカーの親あざらし(パパ)が、泣いて怒っている緑のパーカーの子あざらしの前でしゃがみ込み、目線を合わせて話を聞こうとしている場面。背景はリビングで、散らばったおもちゃが少し見える。 日常の工夫・接し方

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「また怒らせてしまった」

ADHD/ASDの子どもを育てていると、癇癪は毎日のように起きます。朝の支度中、食事中、きょうだいのトラブル。スイッチが入ると泣き叫び、何を言っても聞こえなくなる。

最初のうちは、「この子はなぜこんなに怒りっぽいんだろう」と思っていました。特性のせいだろうか、何か対応を間違えているんだろうかと。

でもあるとき、ふと気づいたことがありました。癇癪のきっかけを作っていたのは、子どもではなく自分(親)の関わり方だったかもしれない、ということです。

急がせたり、事情を聞かずに怒ったり、推測で判断してしまったり。振り返ると、「もう少し落ち着いて対応していれば、癇癪にならなかったのでは」という場面がいくつもありました。

この記事では、ADHD/ASDの子どもの癇癪に悩んできた父親として、自分自身の関わり方を振り返った経験を正直に書きます。「癇癪をどう止めるか」ではなく、「癇癪が起きる前に親ができることは何か」という視点で読んでもらえたらうれしいです。

私はADHD/ASDと診断された子ども(年長)と1歳の次男を育てている父親・あざらし先輩です。専門家ではありませんが、日々の子育ての中で気づいたことを、実体験ベースでまとめています。

なお、癇癪のきっかけになりやすい外出場面の対応については、「ADHD/ASDの子どもと外出するとき、父親がしている準備と声かけ」の記事もあわせて読むと、つながりがわかりやすいと思います。

この記事でわかること

  • ADHD/ASDの子どもの癇癪が起きやすかった具体的な場面
  • 「急がせる」「聞かずに怒る」が癇癪のきっかけになっていた話
  • 事情を聞いてみたら理由があった、2つの実体験エピソード
  • クールダウンの場所づくりなど、今試していること
  • うまくいかなかった日のことも含めた正直な振り返り

癇癪が起きやすかった場面を振り返る

わが家の場合、癇癪が起きる場面にはパターンがありました。振り返ってみると、どれも親の側に「余裕がない」「急いでいる」という共通点がありました。

朝の支度で「早くして!」と追い立ててしまう

保育園に間に合わせなきゃいけない朝。時計を見ながら、「早くして」「もう時間ないよ」「靴下まだ履いてないの?」と矢継ぎ早に声をかけてしまう。

子どもは子どもなりのペースでやろうとしています。でもこちらには「あと10分で出なきゃ」というタイムリミットがある。その焦りが、声のトーンに出てしまう。

すると、子どもの中で何かがプツンと切れる。「やだ!」「行かない!」と泣き叫び、そこからしばらく動けなくなる。

正直、毎朝これが続くと「なんでできないんだ」と思ってしまうこともありました。でも今振り返ると、子どもが「できない」のではなく、自分が「急がせすぎていた」のだと感じています。

食事中の「早く食べて」「ちゃんと座って」

食事中もそうです。ダラダラ食べているように見えると、つい「早く食べて」「ちゃんと座って」と言いたくなる。

でも、ADHD/ASDの特性がある子どもにとって、食事のペースを他人に合わせるのは簡単ではありません。感覚的に苦手な食感があったり、食べることに集中し続けるのが難しかったりする。

それを知っていても、疲れているときや時間がないときは、「なんでこんなに遅いの」と言ってしまう。そしてまた、スイッチが入る。

あとから考えれば、「食べ終わったらおやつにしようか」と見通しを伝えるだけでよかったのかもしれない。でもその場では、そこまでの余裕がない日もあります。

きょうだいトラブルで、事情を聞かずに怒ってしまう

これが、わが家で一番多かった癇癪の引き金かもしれません。

お兄ちゃんが弟に手を出した瞬間だけを見て、反射的に「叩いちゃダメでしょ!」と怒る。お兄ちゃんの言い分を聞く前に、結論を出してしまう。

子どもからすれば、「自分にも理由があったのに、聞いてもらえなかった」。それが悔しさと怒りになって、癇癪につながっていました。

親としては「叩くのはダメ」という正論を伝えているつもりですが、子どもにとっては「自分だけが悪者にされた」という体験になっていたのだと思います。

聞いてみたら、ちゃんと理由があった

あるとき、「怒る前にまず聞いてみよう」と意識するようになりました。すると、子どもには子どもなりの理由があったということに気づく場面が増えました。

印象に残っている2つのエピソードを書きます。

エピソード①:おもちゃの取り合いからの連鎖

お兄ちゃんが弟のおもちゃを強引に取ってしまい、弟が怒って向かってきた。その流れで手が出た。

見た目だけを見れば「お兄ちゃんが弟を叩いた」です。でも聞いてみると、最初のきっかけはお兄ちゃんがおもちゃを取ったことで、弟が怒って反撃してきたことへの反応だった。

もちろん「叩くのはよくない」ということ自体は変わりません。でも、頭ごなしに「叩くな!」だけでは、子どもの中で何も整理されない。

「何があったの?」と聞いて、「おもちゃを取ったのはよくなかったね。でも叩くのは別の話だよ」と一緒に整理してあげるほうが、子どもにとっても納得しやすいと感じました。

エピソード②:「叩いた」のではなく「注意した」つもりだった

これは特に印象に残っています。

食事中、弟の足癖が悪くて、お兄ちゃんが「だめだよ」と言いながら弟の足をポンポンと軽く触って注意しました。

ところが弟は「たたかれた!」と泣き出して、僕はそれを見て反射的にお兄ちゃんを怒ってしまったんです。

あとから落ち着いて聞いてみると、お兄ちゃんは叩いたつもりはまったくなく、弟の足癖が嫌で「やめてね」と伝えたかっただけだった。

弟の「たたかれた!」という言葉を鵜呑みにして、推測で判断して怒った自分が、癇癪の原因を作っていた。

このとき、「聞いてみたら理由があった」ということを身をもって実感しました。そしてお兄ちゃんには「ごめん、先に話を聞けばよかった」と伝えました。

青いパーカーの親あざらしが、緑のパーカーの子あざらしの話をしゃがんで聞いている

試してみて、少し変わったこと

完璧な対応ができているわけではありません。でも、意識を変えたことで少しだけ変化が見えてきた部分もあります。

まず「何があったの?」と聞くようにした

叩いた瞬間を見ても、すぐ怒らずに「何があったの?」と聞く。子どもが自分の言葉で説明しようとする時間を、できるだけ待つ。

正直、余裕がないときは難しい。でも、「聞いてもらえた」という経験が少しずつ積み重なると、子ども自身も「まず言葉で伝えよう」としてくれる場面が出てきたように感じています。

もちろん、毎回うまくいくわけではありません。子どもが興奮しているときは言葉にできないこともあるし、こちらもイライラしていて聞く余裕がないこともある。

でも、10回のうち3回でも「聞けた」日があれば、それでいいのではないかと思うようになりました。

クールダウンの場所を作ろうとしている

癇癪が起きたとき、以前は別の部屋に移動させていました。

最近、子ども用のテントを購入しました。「ここは自分だけの場所」という安心感をつくれたらいいなと思い、リビングの隅に置いて、子どもが自分から入れるようにしてあります。

療育の先生からも「安心できるスペースがあると、自分で気持ちを切り替えるきっかけになることがある」と聞いているので、しばらく試してみることにしました。

【追記】購入2日目で、早速テントに入る場面がありました

テントを置いて2日目のこと。弟にちょっかいを出して注意されたタイミングで、泣きながら自分からテントに入っていきました。

テントの中でしばらく泣いていましたが、少しずつ落ち着いてきたタイミングで声をかけることができました。

「一人でクールダウンできる場所ができた」というのは、親にとっても大きな安心感があります。怒鳴って別室に連れていくのとは違い、子ども自身が「ここに行けば落ち着ける」と感じられる場所になりつつあるのかもしれません。

テントの選び方や実際に使ってみた感想は、別の記事に詳しく書きました。

癇癪のクールダウンにキッズテントを試した話【体験談】

リビングの隅にあるキッズテントから子あざらしが顔を出し、博士帽のあざらし先輩が見守る

正直、うまくいかないことのほうが多い

ここまで書くと「聞けば解決する」ように見えるかもしれませんが、実際はそんなに簡単ではありません。

自分も感情的になってしまう

朝の忙しい時間、仕事で疲れているとき。頭では「まず聞こう」とわかっていても、つい声を荒げてしまうことがあります。

「急いでるのに…」「何回言ったらわかるの」——こういう言葉が出てしまったあと、自己嫌悪になる。その繰り返しです。

特に、弟が泣いていて、お兄ちゃんも怒っていて、家の中がカオスになっている瞬間。冷静でいるほうが難しい。

「毎回優しく言えていれば」と思うことがある

「毎回優しく声をかけていれば、癇癪は起きなかったのでは」と思うことがあります。

でも現実には、毎回は無理です。疲れているときもあるし、こちらにも感情がある。

大事なのは「毎回完璧にやること」ではなく、うまくいかなかった日に「次はこうしよう」と思えることだと、今は考えています。

「今日は怒っちゃったな」と思ったら、子どもが落ち着いたあとに「さっきは怒ってごめんね」と伝える。それだけでも、少し違うのではないかと感じています。

今、大切にしていること

癇癪への対応を通して、自分なりに意識するようになったことが3つあります。

①推測で判断しない。
見た目だけで怒らず、まず「何があったの?」と聞く。特にきょうだいトラブルでは、片方の言い分だけで判断しないようにしています。

②子どもの「嫌だった理由」を知ろうとする。
今回は何に対して嫌だったのか。何に怒っているのか。親が勝手に決めつけるのではなく、子どもの言葉を待つ。うまく言葉にできないときは、「○○が嫌だった?」と選択肢を出してあげることもあります。

③親が感情的になったら、それも認める。
完璧を目指すのではなく、「今日は怒っちゃったな」と振り返れればいい。自分を責めすぎると、次の対応にも余裕がなくなるからです。

これが正解かどうかはわかりません。でも少なくとも、「子どものせいにしない」という姿勢だけは持ち続けたいと思っています。

発達障害に関する正確な情報は、国立障害者リハビリテーションセンター(発達障害情報・支援センター)でも確認できます。

「もしかしてADHDかも?」と気になる方は、ADHDセルフチェックツール(無料)も参考にしてみてください。

よくある疑問

癇癪が起きたとき、まず何をすればいいですか?

わが家では、まず「何があったの?」と聞くことを意識しています。すぐに怒らず、子どもの話を聞く時間をつくるだけで、状況が変わることがありました。ただし、子どもが興奮しているときは無理に聞き出そうとせず、少し落ち着くのを待ってから聞くようにしています。

クールダウンの場所は必要ですか?

絶対に必要とは言いませんが、「逃げ場がある」という安心感は大きいと思います。うちでは子ども用のテントを用意してみたところです。罰として閉じ込めるのではなく、子どもが自分から「ここに行きたい」と思える場所にすることが大事だと考えています。

父親として癇癪対応で一番つらいことは何ですか?

自分も感情的になってしまうことです。「わかっているのにできない」という自己嫌悪が一番こたえます。でも、完璧じゃなくていいと思えるようになってから、少しだけ楽になりました。同じように悩んでいる方には、「10回のうち3回できたら上出来」くらいの気持ちでいてほしいなと思います。

癇癪への対応と、家庭での学びの環境づくり

癇癪の対応を工夫しながら、家庭での学びの環境も少しずつ整えていきたいと考えている方もいるかもしれません。

わが家では、子どものペースに合わせられるタブレット学習を検討しています。「急がせない」学び方を探している方は、以下の記事もあわせて読んでみてください。

ADHD/ASDの子どもの就学準備——家庭学習、何から始める?

まとめ

子どもの癇癪に悩んでいたとき、僕はずっと「この子はなぜこんなに怒るんだろう」と考えていました。

でも振り返ってみると、朝の支度で急がせたり、きょうだいトラブルで事情を聞かずに怒ったり、推測で判断してしまったり——癇癪の引き金を作っていたのは、親の側だったということが少なくありませんでした。

聞いてみたら、子どもにはちゃんと理由があった。叩いたのではなく注意しただけだった。それを知ったとき、「ごめん、先に話を聞けばよかった」と素直に思えました。

毎回うまくはいきません。明日もまた感情的になってしまうかもしれません。

でも、「次は聞いてみよう」と思えるだけで、少しだけ前に進めている気がしています。

同じように悩んでいる方にとって、この体験談が何かのきっかけになればうれしいです。

子どもの発達が気になり始めた方や、最初の相談先を探している方は「子どもの発達が気になったらどうする?最初の相談先と父親の体験談」も読んでみてください。

この記事を書いた人
あざらし先輩

30代後半・会社員パパ。ADHD/ASD特性を持つ5歳の子と奮闘中。専門医への相談・知能検査・週3の療育通所など、診断から支援まで経験してきた「ちょっと先を歩く先輩」として、同じ悩みを持つ親にリアルな情報を届けます。

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